狂犬になってしまった犬は森の中で何かの草を食べると完治する。と言うお話の真相とは?
2024.09.10
現在のウクライナ出身の作家さんの文学書を訳された書物にて
村の人々はある日突然狂犬になってしまった犬は
森の中へ”何かの草”を求める為にさまよい
そして正気(完治)になって帰ってくると言い伝えられていたそうです。
その真相がとても興味深かったのでこちらでご紹介いたします。
(物語ですので、実話ではございません。予めご理解いただければ幸いです。)
ある普通の家庭内で飼われていた”セールコ”と言う犬が主人公です。
物語は犬目線にて進んでいきます。
朝と晩には必ずご飯を与えてもらい
その間もお腹が空くと(ツンツンと壺に何かを当てて音を出すと
家の人が必ず何か食べ物を入れてくれる)”餌壺(えさつぼ)”で
空腹を凌いでいたそうです。
そんな暮らしをしていた”セールコ”も肉でつられ(騙され)て
その家族の娘(幼児)の馬車ならぬ犬車をさせられる羽目に。
その犬車が”セールコ”にとってとても嫌だった様で
ある日気が狂ったような暴走犬車になってしまい、色んな所へ突っ込み
セールコはそのまま森へ逃走してしまいました。
そして、森の中での出来事や気持ちなどが犬目線で物語が進み
改めて作者の高い見識が見受けられました。
その森へ逃走中、普段食べ物に困る生活をしていない”セールコ”は
食べ物を獲得するのにとても困ってしまいます。
最中に登場した食べ物は、畑に生っている”甜瓜(まくわうり)”や
水辺に生える”蒲の茎”、また草や木の皮を食べたりして3日間過ごしたのでした。
最終的に3日後、我が家(食べ物)が恋しくなり
村へ帰ってきたところ、村の人間たちに最初は
セールコはもう狂犬になってしまったと思い込まれ
厳しく接せられたりした場面もありましたが、
家族の目の前で必死に服従のサイン等でアピールし
普段通り、無事家族のもとへ戻り、村中の人たちは
彼(セールコ)も森の中で狂犬が治る草を食べてきた。と言われ、
めでたしめでたし。という物語なのです。
結局のところ、犬目線で見ると
いつもの生活の中で少し不満が重なり、違う環境へ行ったものの
生きる術を身に着けていない為、我が家に帰った。
と言う形で、
森の中で食べる何かの草が狂犬を治す。とい言う訳では無く、
お腹が空きすぎて家に帰ってくる。と言う物語でした。
(犬の幸福 米川正夫 訳 より参照)
人間、思い込みと言うのはある意味怖いなぁ。と思わされた内容でした。
皆、必ず草を食べて狂犬が治っていると思っていても
実際の所、この物語では嫌な事(ストレス)の蓄積等で、
言葉を発せない犬が行動で示したのが”逃走”と言う形になったんでしょうね。
まわりから見ると、あたかも”狂犬”になってしまった。と思われるのも無理は無いかもですね。
ただ結局の所、犬も普段は食料のある家庭で育っているので、
いきなりの野生化は難しいし、いつもの家に帰ろう。と言うのも想像できますね。
総じて、共に思いやって生活をする。と言うのがやはり大切なのかなぁ。と感じた次第です。
(この物語でも、帰ってきた後の家庭内は脱走前と違って
共に思いやる気持ちがとても溢れる家庭になっていました。
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